UNESCO-UIA建築教育認定とは

UNESCOとUIA(International Union of Architects)による国際的な建築教育水準の確保のための検討作業が1970年代にはじまり、1996年にUIAは加盟120カ国以上の建築家団体が参加するUIAバルセロナ総会において、UNESCOと連名での「UNESCO-UIA建築教育憲章」(UNESCO-UIA Charter for Architectural Education)を採択しました。これは、大きく変化する世界で持続可能な社会、建築環境を作るために重要な建築家教育に、建築家が大きな役割を担っていることを宣言したものであり、建築教育の目的やクライテリアなどを規定し、地域性や文化の独自性を尊重しつつ、世界中の建築系大学のボトムアップを目指したものです。これを受けてこの憲章に則った建築教育を提供する国々の教育認定システムを認証するための「UNESCO-UIA Validation System for Architectural Education」の起草に着手し、1999年の北京総会においてUNESCOとの共同委員会である「UNESCO-UIA International Committee for the Validation of Conformity and Qualify in Architectural Education」設置が承認されました。その後2000年5月には、UNESCOとUIAによる議定書が取り交されています。
 この議定書に基づき、さらに具体的な実施を目指すUNESCO-UIA建築教育認定委員会(UNESCO-UIA Validation Committee for Architectural Education)が正式発足しました。

UNESCO-UIA建築教育認定システムの施行とJABEEの対応

2005年5月の議定書に従って「UNESCO-UIA Validation Council for Architectural Education」が正式に発足して、UNESCO-UIA教育認定システムが施行されました。この教育認定システムの特徴は、原則として国にしかるべき建築教育認定システムがある場合にはそのシステム自体を認証して、認証された団体が個別の教育機関の認定を行い(認証評価)、また教育機関数の少ない国や発展途上国などでは、UNESCO-UIAが直接個別の教育機関の認定も行うというものです。
1996年に憲章が採択されて以来、わが国においては「全日制による建築の専門教育5年以上」が求められている点と、「カリキュラムの過半が教員と学生の対話を基本とした個人スタジオ課題による」とされている点が、わが国の建築家教育の実態と整合しないことが憂慮すべき問題とされてきました。
2005年イスタンブール総会においてUIAによる教育認定システムの開始が宣言されたことを受け、わが国の採るべき道筋を改めて検討した結果、2003年に施行されている学部教育(4年間)を対象とする認定に、大学院修士課程(2年間)を対象とする認定を付加する形で、両者を合わせてUNESCO-UIAの憲章に適合する教育プログラム認定とすることが最も適切な方法であるとの認識に収束しました。以降、建築学分野が率先する形で修士課程プログラム認定の枠組み作りを行うと共に、建築学および建築学関連分野の分野別要件を、UNESCO-UIA憲章の求める建築教育の内容を反映するものとして整備し、2006年度には学部と大学院をあわせた教育プログラムの試行審査を行っています。その上で2007年の修士課程プログラム認定の施行と同時に、UNESCO-UIA教育認定評議会への受審の意志の表明を行いました。

UNESCO-UIA建築教育認定システムによるJABEE(学部+大学院)の審査

2008年12月16日より4日間、UNESCO-UIA審査団が来日して、JABEEの認定審査システムのヒアリングを行い、引き続き建築学および建築学関連分野の学士課程プログラムとUNESCO-UIA建築教育憲章を反映させた修士課程プログラムの同日実地審査を視察しました。その結果、審査団から「JABEEに対し5年間の条件付き承認(CONDITIONAL RECOGNITION)を与える」との審査所見がUNESCO-UIA建築教育認定評議会に提案され、2009年5月のUIA理事会で5年間の条件付き承認が正式に決定されました。これにより、JABEEが学士課程プログラムと同時審査を行って認定した特定領域「建築設計・計画」の修士課程プログラムは、UESCO-UIAが直接認定した海外の「全日制による建築の専門教育5年以上」の教育プログラムと同等性を有することが保証されるようになりました。
なお、上記の審査結果でUNESCO-UIA審査団から以下の3つの主要な改善事項が示され、2011年9月のUIA東京総会でJABEEより改善報告を行った結果、認証有効期間の継続が承認されました。

  1. JABEEの学部および大学院の両方の基準に、UNESCO-UIA建築教育憲章が求める教育内容に沿ったものとすることを明記すること。
  2. 学部および大学院設計・計画系の6年間のUNESCO-UIA対応プログラムを審査する場合の審査チームの構成について、審査長は設計・計画系の実務者ないしは教育者とし、また学生審査員を審査チームの中に含めること。
  3. 実地審査における審査の重点を、実施された教育の量や質ではなく、その教育の成果物の吟味・精査の方に置くこと。

JABEE 2012年版、建築系学士修士課程認定審査の開設

2012年度のJABEE認定基準の見直しを機に上記の改善事項1を勘案して、UNESCO-UIAが求める建築設計・計画系に特化された国際要求基準(UNESCO-UIA建築教育憲章)と整合する独自の認定種別を設定しました。それまでは、上記の通り、学士課程と修士課程を組み合わせて、UNESCO-UIA建築教育憲章が条件とする5年間以上の教育課程と等価のものとして認定を行っていましたが、学士課程と修士課程をあわせた6年一貫の教育プログラムを認定する「建築系学士修士課程」を新たな認定種別として開設しました。わが国には5年間以上の建築教育制度は存在しませんが、建築設計・計画系の修士課程を持つ教育機関が学士課程と組合せて構築したバーチャルな教育課程を、6年一貫のプログラムとして認定するものです。この新しい認定種別では、上記のUNESCO-UIAの審査で示された3条件への対応を以下の通りより一層明示化しました。

  1. UNESCO-UIA教育憲章に準拠している2007年の大学院建築学および建築学関連分野に付した分野別要件のすべての項目を「建築系学士修士課程認定」における新たな個別基準とする。
  2. 審査チームの構成については、「建築系学士修士課程認定」審査の手順と方法における「審査員の構成」の中に、審査長の条件ならびに学生オブザーバーを含むことを明記する。
  3. 成果物重視の実地審査方針は、受審校にエビデンスの展示を求めるほか、審査員研修会等を通じて審査員に徹底するよう努める。

以上の内容の改善計画を盛り込んだ中間報告書(改善報告書)をまとめ、2011年9月にUNESCO-UIA建築教育認定評議会に提出しました。その後の2012年3月10日、パリのUIA本部で開催されたUNESCO-UIA建築教育認定評議会でJABEEが提出した中間報告書が審議され、5年間の正規認証の継続が確定しました。
なお、この認定種別では修士課程を修了しないと認定プログラム修了生になることはできませんが、プログラムの希望により、学士課程部分については「エンジニアリング系学士課程」プログラムとして認定することを可能としています。ただし、独立した学士課程プログラムであるとともに、UNESCO-UIA教育憲章に対応した6年間一貫教育プログラムの一部でもありますので、学士課程の建築学および建築学関連分野の分野別要件にもUNESCO-UIA教育憲章への対応を課しています。