社会、産業界は、大学に対して、入学者選抜によるふるい分け機能ではなく、教育の過程を通して学生のどのような能力を育成し「何を身に付け、何ができるようになったか」を問うようになっています。学士課程教育の質的転換が「待ったなし」の課題であり、若者や学生、地域社会や産業界を含め、社会全体にとって極めて切実な問題となっています(2012.8.24中教審答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」)。JABEEは、工農理系の技術者教育におけるそのような教育変革をサポートしています。

技術者教育に求められている変革とは何でしょうか? 今、「学士力」として、知識や技能を活用して「複合的」な問題として理解し、必ずしも答えのない課題に解を見出していく能力や、チームワーク力、リーダーシップ能力などを高等教育段階で培うことが求められています。そうした中で、JABEEが加盟しているワシントン協定が属するInternational Engineering Alliance (国際エンジニアリング連合)が、2009年にGraduate Attributes という指針を世界に発信しました。これは、大学等の高等教育機関における技術者教育が学生に身につけさせるべき知識・能力をまとめたもので、上記の学士力とも共通する内容となっています。JABEEの認定基準はもともとそれらの内容を包含するものでしたが、2012年度の認定基準改定ではGraduate Attributesに鑑みて「チームワーク力」を明示化しました。

JABEE認定プログラムの先生方に「JABEE認定を受けて何が良かったですか?」と聞くと、「学生が学習・教育到達目標を理解することによって、学生のモチベーションが上がった」という返事が返ってきます。JABEEのPDCAシステムは学生が身につけるべき能力を教員と学生が共有して進める継続的な教育変革のシステムなのです。また、「今までは、隣の教室の先生がどのような教育をしているかわからなかったが、JABEE認定の後は学科全体で組織的な教育をするようになったので、同僚の先生方と一緒に教育を考えられるようになった」との声も多く聞かれます。これは文部科学省が進める大学改革でも求められている組織的教育の実践にほかなりません。 JABEEの認定審査により、そうした組織的教育が、1教育機関の中にとどまらず、多数の教育機関や企業、公的研究機関が関与する大きな連携にまで広がります。さらには海外の技術者教育認定機関との間で、教育のレベルの国際的同等性が保証されます。